自然だから=良いもの
これは大きな勘違いだとわたしは思っています
自然は自然でありそれ以上でもそれ以下でもありません
自然という事柄に関していえば
良いもの悪いものという判断自体がナンセンスですが
問題なのはその一面しか見ていないというところです
猫の自然食やホメオパシーが良いというのは自然だからではありません
そうではなく
人間の存在や命、猫の存在や命を考えたときに
それが自然と伴走しているような
相対する反対のものでないような
つまり全体を俯瞰して見たとき、あるいは様々な面から考えたとき
取りうる策の中でその時点では最善だと判断できる
そのようなものだからです
猫の自然食の講義でわたしは必ず
「適切なごはんにすることで70%近くの健康を維持できるでしょう」
と伝えています
これは別に根拠のない数字ではありません
ごはんを消化吸収する消化器官
その中でも重要な腸の腸管免疫は免疫全体の70%を担っています
言い換えれば、
腸を健康し免疫の70%近くが健全に働くことで
健康を保てるだろうという仮説がたちます
そして腸を健康にするために必要なのは
身体の消化吸収システム、つまり食性に対して
矛盾のない適切なごはんを食べることに他なりません
自然科学的に考えれば
完全肉食動物である食肉目ネコ科の適切な食事は主には他の生き物です
その内容にできるだけ似せたごはん=自然食は
猫にとっては私たちが与えることのできる今のところ最も適したごはんです
自然食というのは私たちが勝手に便宜上使用している言葉です
この自然というのが=良いものということではなく
繰り返しになりますが、
その内容が、人間が与えうる猫のごはんの中では大きな矛盾がなく
猫の食性に適した食事という意味で使用しています
自然食(猫の栄養学)を学びますと多くの受講者さんが
これで猫が健康になると喜びます(実際になるのも事実です)
しかしこのように考えますと
残念ながら自然食だけでは丸っと健康にはできません
先ほどの残り30%の壁があるからです
この壁は、意識的にしろ無意識的にしろ避けることはできません
いってみれば「環境」という一言に集約されるものです
環境と聞いてイメージできる範囲では足りないかもしれません
ここには飼い主さんとその家族なども含まれます
もしも自然のものだから良いのだとそこだけをみていると
自然食の本質を見失ってしまうかもしれません
大切なのは「なぜ良いのか」という問いに対して
本質を理解してそれに対する答えを持つことです
猫のごはんは自然食が良いというとき
その良さは、自然だから、という一面的な理由ではなく
猫の本質を理解したうえで導き出した食事だから、となります
ではいったい猫の本質とはなんなのか
そこはもちろん一緒に暮らしている猫たちが教えてくれます
が、少なくとも以下の事柄について理解する必要があるでしょう
猫の食性
猫の性質・習慣
身体の仕組み
身体のシステム
受け継がれてきた遺伝子
環境による進化
これらを知り理解することで自ずと答えが出ます
自分の考えや思いで語るのではなく猫の本質から判断する
そうしますとどのような状況に遭遇してもブレがでません
そこでは例えば
生肉を食べる食べない論争とか
加熱非加熱論争とか
そのような論争さえ実はナンセンスです
このように言葉で書くとなんだか難しいもののように
感じるかもしれませんが
講座ではこの本質部分をわかりやすく説明しますので
それはもう当たり前に皆さんの知識になっていきます
猫の自然食がキチンとできている飼い主さんは
少なくとも猫の本質を理解し日々実践し経験することで
猫のごはんに対するブレが徐々になくなっていきます
もしまだ猫ごはんに対して悩み多き日々であれば
もう一度原点に戻って
猫の本質を見直してみてください
<自然だからいい…わけではありません>
・ものごとを一面的に判断するのではなく様々な角度から判断する
・ものごとの本質を何度でも落とし込む=ブレをなくす
・自分自身(人間)の思いや感情はものごとの本質とは関係がない