5月18日(土)からスタートした『愛猫のために学ぶ自然食』第14期
猫の食事についてもっと知りたい、学びたいという積極的な飼い主さんが
いつも以上に多くてとても楽しく講義が進みました。
色々な話をし過ぎて時間をオーバーしてしまうほど!!
まだ二回目、三回目にも目からウロコな事実がワンサカ登場します。
自然食をゆっくりと取り入れながら、楽しみにお待ちください。
さて、
毎回毎回、必ずと言っていいほど受ける質問があります。
その一つについて今日は猫のことを絡めて少しお話ししたいと思います。
その質問というのは、
- 以前、お肉を与えたのですが食べなかったんです
- 生肉を出したら、これ違うって砂かきで拒否られました
- 手作り食にトライしたけど全然食べてくれなくて心が折れました
etc.etc.というもの
この記事を読まれている皆さんの中にも同じような体験をした人も
少なくないかもしれません。
そしてそうした体験があるからこそ、手作りは…ーと躊躇しているとしたら
それはとてもとても残念なことかもしれません。
そもそも「なぜ猫が食べてくれないのか?」を考えたことはありますか?
猫は食にうるさい動物で途中から切り替えることは難しい
なんていうありきたりな情報を鵜呑みにしているとしたら正直ダメダメです。
まずは、猫の食性を考えてみてください。
彼らはその食事を食べるために身体や習慣を進化させてきました。
その食事とは一体どんな食事でしょうか?
簡単ですね。
肉食性をフルに活用して他の生き物を食べる、命をいただく食事です。
普通に考えて、他の生物を食べることには様々なリスクが伴います。
例えば、
・いつでも新鮮な生き物を食べられるとは限らない
・誤って食べてはいけないものを食し中毒を起こす可能性もある
・汚染されたり腐敗した魚肉を食べてしまうリスクも少なくない
こうしたことから
猫たちは母猫に、ハンティングの仕方から食べられるもの食べられないもの
危険なもの、安全なものをしっかり学んで育ちます。
幼いころに教わったことはその後習慣として固定化されます。
特に小型の肉食動物は、捕食者でもあり被食者でもあるため
リスクヘッジ(危険を回避)の能力が高いという特性もあります。
そのため、
野生のネコ科の肉食動物はイエネコだろうが幼いころに教えられた餌だけが
安心して食べられるものと刷り込まれるのです。
しかもリスクヘッジの能力が高いわけですから、食事に対しては犬ほどの
柔軟性がないのは当たり前の話です。
(食性の違いというのはこうしたところにも現れますから興味深いですね)
次に現在の猫の状況を考えてみましょう。
小さな頃に保護されたり、ペットショップで売られている子猫たちは
誰に食事を教わるのでしょうか?
今、与えている食事を教えたのは外でもない保護者=人間です。
このキャットフードが、ウェットフードが、食事だよ〜と言って与えたのは
紛れもなく私たち自身です。
つまり猫たちにしてみれば、私たちが食事だといって与えたものが
安全で安心な食べ物だという認識で育ちます。
それまで、
蝶よ花よカリカリよ〜とカラカラ〜んともらっていた食事が、
ある日突然、
実は、あなたは肉食動物だったの、だから今日からはコレ食べてね!と
生肉をドンっと目の前におき、ワイルドだろう〜♡ ーって、、、
いくら猫でも驚きませんか?
食べものとすら認識しなくても当たり前ではありませんか?
イメージしてください。
あなたは何年もの間、野菜がごはんなのよ〜って与えられてきたとします。
それを疑わず信じて食べて育ってきたのに…
ある日突然、
ごめんあなたの本当の食事はね、昆虫だったの、だから今日からあなたの
食事は虫てんこ盛りねって出されたら…どう?
食べられないですよね?
たとえそれが本来の食性にあった適切なものであったとしても
うっそーって躊躇するぐらいのインパクトだとしてもおかしくない訳です。
もちろん、本能でなんの問題もなく生肉を食べる猫もたくさんいます。
でも人の手が入れば入るほどそうした本能は薄まり、猫としての在り方から
遠のいていくということもまた事実です。
食べない猫の気持ち、少しは理解できたでしょうか。
今回の内容で最も理解して欲しいのは、
なぜ食べものと認識しないのかというバックグラウンドです。
このようなことだけが食べない理由のすべてではありません。
しかし、猫の習性や習慣を理解したうえで、このように食べてくれない理由を
想像できなければ、次のステップへ進むこともできません。
ですから、
猫が生肉を食べてくれない時はどうすれば良いか?
この答えはとてもシンプルなのです。
少しずつ、生肉が安全なごはんであることを教えてあげれば良いのです
ムリをせず、ゆっくりと、好みのお肉を探してあげてください。
講座ではデモンストレーションでこんな風に与えてみてね、というのを
実際にみてもらい、帰ってから実行してもらっています。
ウチの子は食べない、と一回二回で諦めるのはナンセンスです。
根気よくちょこちょこ与えることで、だんだんと食べられるようになります。
そこまでして自然食なんかやらなくてもと思うのならそれはそれで構いません。
行動するのは飼い主さんの意識の問題ですから。
わたしがお伝えしているのは、今この瞬間に何かが劇的に改善するとか
奇跡的な食事方法ではなく、長いスパンで考えて、より安全でより安心できる
なによりも猫が元気でいられる適切な食事方法です。
猫の習性や特性を生かし、どのようにしたら猫が喜び元気になるのか
そうしたことをコツコツ積み上げられる飼い主さんのサポートをするのが
好きなのです。
焦らず、ゆっくり、
猫とあなたのペースで少しずつ進んで良いのです。
手の内をすべて出し切るまではネバーギブアップ!!です。
ちなみに手の内がどれぐらいあるかといいますと、例えば、
肉の種類(20) × 切り方(3) × 温度(3) × お肉の産地(5)
という組み合わせだけでもざっと900通り以上ありますから
どれだけトライできるんだー!って思いませんか。
(実際にはそこまでせずに食べてもらえますww)
本記事が少しでも気になる読者さんがいましたらこちらの記事もご覧ください。
2017年にクロワッサンで記事を掲載していただきました。
簡単にできますので、実行してみてはいかがでしょう?
もし猫たちが生肉に興味を持つのであれば、今後のためにキチンと栄養学を学んで
自然食に切り替えることをお勧めします。
<ダメだったから…と諦める前に>
・猫の食性、性質、習慣、特性をもう一度理解し直す
・生肉を食べない時は、まずバックグラウンドを探りどこに問題があるかを認識する
・突然、食事が丸っと変われば驚くのは当たり前、まずはできるところから少しずつ、
ゆっくりとはじめる(焦らない)
・現在だけではなく、未来を見据えて猫の食事を考える
・この世の中に不可能なことなどないと知る